平成29年2月19日に、最高裁で「預貯金を遺産分割の対象にする」という新しい基準が示さ

れました。

従来の判例では預金者が死亡して相続が開始すると、預貯金は法定相続分によって分割相続され、

相続人全員の同意がない限り遺産分割の対象にならないとされてきた。

今回の結果を踏まえ金融機関の預金の払い戻しに関して影響が考えられる。具体的には、死亡直

後に遺族が金融機関から預金を引き出すケースが該当する。従来の金融機関の対応は、葬儀代な

どの資金需要に応えるため、原則は引出し応じていた。

従来の判例に従い、遺産分割をしなくても自分の法定相続分を引き出すことは可能であった。

今後は、上記のような柔軟な対応は難しくなる。何故ならば、金融機関の免責が認められる可能

性がほとんどなくなると思われるためである。

結果的に、遺族同士の話し合いや調停で家裁の裁判が長引けば預金を引き出せない状態が続くこ

とになる。

今後は、預金を引き出せなくて困る人については遺産分割前の払い戻し等の議論が進められる予

定であり、動向が注目される。

今後の多死社会において相続が「争続」にならないような事前準備が必要性は増すばかりである。

それでは・・・

(文責-山口彰敏)